第11回「カーシェアリングでトラブルに遭わないために」~消費生活アドバイザーから見た日本社会におけるギャップ~

カーシェアリングでトラブルに遭わないために

1台のクルマを複数人でシェアする「カーシェアリング」には、レンタカー型カーシェアと、個人間カーシェアがあります。若者を中心に利用が広がっていますが、トラブルも多発しています。

事例1:ネットのカーシェアリング

旅行先でカーシェアリングを利用するため、ネット検索して安いレンタカー型カーシェアリング業者を見つけた。カーシェアリング契約をして車を利用した後に業者の指定する駐車場に返還した。その後、シェアリング業者からメールが届いた。内容は、「車の後部とバンパーに損傷の跡がある。修理費用の全額を請求する」と書いてあった。更に、「休業補償と事故を連絡しなかったペナルティ代金も規約通りに請求する」と付記されており、車の損傷部分の画像が添付されていた。

しかし、車を損傷させた覚えはない。反論したいが、借りる際に車の点検をしっかりしておらず、これらの傷が借りる前からのものかよくわからない。支払いたくないので、「車にキズをつけた覚えがない。添付画像の車が、使用した車かどうかの判別できないので不審だ。支払いたくない」と書面で伝えた。その後、業者から、話し合いに応じるなら柔軟に考える用意はある、と回答してきたが請求に応じたくない。どうすればよいのか。

(契約当事者 : 20歳代 男性 学生)

【注 意 点】
  1. 「覚えのない傷の修理代を請求された」というトラブルを防ぐためにも、利用する前に車両の傷に気が付いた場合、細かい傷であったとしても必ず事業者に報告し、あわせて写真を撮っておきましょう。返却時も写真を撮っておくとよいでしょう。
  2. 事故や盗難には十分に注意し、万が一故障、事故、盗難等が発生した際は、すぐに事業者に連絡するなど、所定の手続きを行いましょう。所定の手続きを行わなかった場合、保険や補償制度が適用されず、修理代を自己負担することになる可能性があります。
  • カーシェアは、事業者によって保険や補償制度の内容や適用条件が異なり、事故等を起した場合でも保険等が適用されない場合や、一定の自己負担が発生する場合があります。貸渡約款、利用ガイド等を確認し、利用料金だけではなく、保険や補償制度の内容、適用条件等を事前に確認し、納得したうえで、事業者やプランを選びましょう。特に保険や補償に関するルールは忘れずにチェックし、①保険の補償額や免責額、②保険や補償制度の適用条件、③事故やトラブルが起きた際の対応方法や事業者の連絡先、④休業補償額等を確認しましょう。
事例2:個人間のカーシェアリング

個人間カーシェアリングを思い立ちネット検索してカーシェアリングアプリを見つけた。
旅行先である遠方の他県に住んでるオーナーとカーシェアリング契約をした。車を借りて旅行を楽しんだ際、うっかり自損事故を起こしてしまった。車の外形は破損していたが、運転に支障がなと分かったことから、そのまま旅行を続け、サイト業者やオーナーには連絡しなかった。
クルマを返却する際に、自損事故の事情を詳しく説明し謝罪した。オーナーは「事故の発生場所から電話していないので、保険が適用されない。修理代は自己負担になる」と言い修理代(約35万円)を要求してきた。不満だったが、帰途のため予約した旅客機の搭乗時間ぎりぎりだったので仕方なく全額クレジットで支払ってしてしまった。
帰宅後、サイト業者に請求が高額であることを伝え苦情を申し出た。あわせて保険の内容確認のために契約関係書類を送るよう依頼したが、オーナーと話し合ってもらいたいというばかりで、対処してくれない。 (30歳代 給与生活者 男性)

【注 意 点】
  1. 個人間カーシェアでは、専用アプリを介してマッチングが成立するとドライバー(車を借りる人)はクルマをシェアし、オーナー(車を貸す人)はその「シェア料金」をドライバーのクレジットカード等を介して受け取ることになります。ドライバーにとっては、スポーツカーなど、様々な車種を手軽に体験できるのが魅力です。また、オーナーにしてみれば、空いている時間に利用してもらいシェア料金をうけとることができます。若者を中心に増えつつある個人間カーシェアですが、「個人間」ということでトラブルも数多く発生しています。
  2. シェア料金はオーナーが好き勝手に決められるわけではなく、車両の購入金額や各種の税金や駐車料金、自動車保険など、クルマを所有し良好な状態で乗り続けるための費用をもとに、運営会社の専用アプリでシェア料金の上限が決められています。オーナーはその上限料金以下にてシェア料金を設定しますが、あくまでも「経費を按分」してオーナーとドライバーがその車両を「共同使用」するという契約です。
  3. 事故や盗難には十分に注意し、万が一故障、事故、盗難等が発生した際は、すぐにオーナーに連絡するなど、所定の手続きを行いましょう。所定の手続きを行わなかった場合、保険や補償制度が適用されず、修理代を自己負担することになる可能性があります。事故や故障等が発生した場合の対応方法については、個人間取引であっても、レンタカー事業者の約款などを参考にして対応したらどうでしょうか。
保険や補償制度が適用されない例

※事業者によって異なりますが、一般的に ①警察への届け出や指定の連絡先への連絡がなかった場合 ②貸渡約款に違反している場合 ‐道路交通法等の法令違反(飲酒運転や無免許運転等)、出発時に申し出た者以外の運転、 無断延長など ③保険約款や補償制度の免責事項に該当する場合 ‐故意による事故、パンクやタイヤの損傷、鍵の紛失、利用者の所有・使用・管理する財物 の損害など ④使用・管理上の落ち度があった場合 ‐車内装備の汚損、無施錠での盗難、装備品の紛失など
(参照)・独立行政法人国民生活センター 令和3年3月25日 報道発表資料
     ・一般社団法人全国レンタカー協会ホームページ

執筆者プロフィール 金崎賢秀(HN)

埼玉県在住。2003年消費生活アドバイザー資格取得。2005年民間保険会社を定年退職し、同年、地元自治体の消費生活センターで消費生活相談員に任用される。以来18年5か月勤務し、2024年3月末に退職する。現在は社会貢献活動として地元の複数の相談業務に参加。
趣味:各地の自然遺産の探訪。読書(推理小説を乱読)。1945年生れ。