第12回「ペットの購入でトラブルに遭わないために」~消費生活アドバイザーから見た日本社会におけるギャップ~
ペットの購入でトラブルに遭わないために
犬や猫などの動物は、ペットショップの販売コーナーのほか、ブリーダー紹介サイトを通じてブリーダーから購入する方法などがあります。それぞれの取引特有のトラブルがあるので注意が必要です。
(★ブリーダー=家畜やペット、植物などを交配、繁殖、改良する人のこと。犬や猫などの動物を繁殖させ、ペットとして営利目的で販売するには、動物の愛護及び管理に関する法律の第一種動物取扱業として自治体への登録する必要があり、ペットショップ同様、法令を遵守するよう義務付けられています。)
<事例1:ペットショップ>

ショッピングモール内のペットショップに出向いた。元気に遊ぶ子犬が気に入ったので30万円で購入し健康チェック表を受け取った。
1週間後、子犬の様子が悪くなったので、動物病院で検査を受けることになった。検査した結果、重篤な病気が見つかった。獣医には、根本的な治療法はなく、内服薬による治療になると言われた。
ペットショップの販売員に、購入時に説明されていない病気が分かったので解約し返金してほしいと伝えた。しかし後日ショップ責任者から支払えないと回答があった。不満に思い、ショップ責任者宛てに、返金を求める書面と医師の診断書を送った。
店舗担当者からは、「動物病院による診断書には、医師の所見では手術などの治療法はないとの内容である。治療を要しないと認識しており、保証・返金を要する当方の過失は見当たらないと判断する。金銭の支払いに応じるつもりはない」との回答書面が届いた。
再度、書面で、「犬の病気が判明したのは検査を繰り返した結果であるから、検査の費用及び治療費を飼い主だけが負担するのは公平でなく、店舗側にもその費用の分担をお願いしたい」と伝える反論書を再送付した。しかし1か月経過しても回答がない。(事業経営者 60代 女性)
【問 題 点】
- 購入する前に、ペットの平均寿命、適切な飼育法、必要な設備、罹るおそれのある疾病や予防法等、購入後のアフターケアの仕組みなど、事前に自分で情報収集するなどの準備が必要です。
- ペットショップ選びでは、①「動物取扱者標識」を店内に掲げてあるか、②販売後一定期間なら治療費を賠償する、③一定期間内に死亡した場合には代替のペットを無償で提供するか、等の規約があるかを確認しましょう。
- 購入の際は必ず事業所で、動物愛護管理法に定める対面での説明を受け、 動物の健康状態および保証内容や連絡先を確認し、書面を受け取っておきましょう。
- 一度飼い始めたらその命を終えるまで適切に飼育する責任が生じます。見た目の可愛さだけにひかれて安易に購入することは避けましょう。

<事例2:ブリーダー紹介サイト>

先月、ブリーダー紹介サイトで好みの子犬の画像を見つけた。
ブリーダーと数回やり取りしたところ、「まだ掲載していない希少な毛色の子犬がいるので見に来ないか」と連絡があり、ブリーダー事務所を訪ねた。
狭いマンションの一室でケージが山積みになっており、事務所は足の踏み場がない状況で、子犬が多数暮らしていた。元気に走り回っていた子犬が気に入ったので、その場で約80万円を支払い、引き取った。その際、健康状態の説明や契約書の交付は一切なく、領収書を渡されただけだった。
数日後、ワクチンを打つために動物病院に行くと、獣医から「この子犬には先天性の疾患がある。重大な病気だから他の犬より小さいし、長く生きられないだろう」と言われた。
飼い始め愛着がわいてきたころ、突然早朝死んでいた。
ブリーダーに連絡し、返金を求めたが、ブリーダーからは「販売から1か月経過しているので、返金や補償はしない」と言われた。
トラブル解決のため、ブリーダー紹介サイトに問い合わせようとしたが、サイトの利用規約に「いかなる場合にもブリーダーと飼い主との売買トラブルには関わらない」と書いてあった。どうしたらよいだろうか。 (40代 給与生活者 男性 )
【問 題 点】
- ブリーダー紹介サイトはトラブルが発生しても原則介入しない場合が多いので、紹介サイトを利用する前に利用規約をよく確認しましょう。
- ブリーダーから直接ペットを購入する際は、まずはブリーダーが第一種動物取扱業に登録しているか調べましょう。実際に飼育施設に出向き、施設の清潔さや動物の健康状態などを確認しましょう。例えば ①健康状態等の説明が行われない、②契約書が渡されない。③病気が判明した際の対応につの規定がない。④飼育環境に問題があるなど、問題のあるブリーダーとの契約には注意が必要です。
- 複数のブリーダーを比較し、信頼できて購入後も気軽に相談できるブリーダーかどうか見極めることも大切です。
- 現物確認・対面説明を行う前に売買契約を結ぶよう求められても契約することは危険です。他方、予約金を求められた場合はキャンセル時の対応を確認して慎重に検討しましょう
<参考>◆環境省「動物の愛護と適切な管理」より
◆一般社団法人全国ペット協会ホームページ
執筆者プロフィール 金崎賢秀(HN)
埼玉県在住。2003年消費生活アドバイザー資格取得。2005年民間保険会社を定年退職し、同年、地元自治体の消費生活センターで消費生活相談員に任用される。以来18年5か月勤務し、2024年3月末に退職する。現在は社会貢献活動として地元の複数の相談業務に参加。
趣味:各地の自然遺産の探訪。読書(推理小説を乱読)。1945年生れ。

